「病棟で看護師をやるのに疲れたから、クリニックに転職したい」
「夜勤はやりたくないから、入院設備のないクリニックがいい」
「急変がほとんどなくて、身体的にも楽な診療科ってどこだろう?」
「できればルーチンワークで残業が少なめの診療科がいいなぁ…」
このように、あなたは看護師として働くのに楽なクリニックを探していませんか?
クリニックでも診療科によって特徴があり、精神的・身体的に楽かどうかにかなり差があります。
急変がほとんどなく精神的に楽、移動・移乗がなく身体的に楽。
比較的ルーチンワークで残業少なめなのが、耳鼻科(耳鼻咽喉科)クリニックです。
耳鼻科領域が未経験な方は、耳鼻科の診療範囲や看護師の仕事内容について知りたいですよね。
例えば、耳鼻科未経験だと耳鼻科の診療範囲。
ひとことで言うと、耳鼻科の診療範囲は「首から上、眼以外のすべて」です!
「そんなに広範囲だと勉強や覚えることが多くて大変そう…」
大丈夫です、未経験でも耳鼻科クリニックの看護師に転職することはできます。
実際に未経験で耳鼻科クリニックへの転職経験のある私が、耳鼻科クリニックの特徴や看護師の仕事内容について詳しく紹介していきます。
耳鼻科(耳鼻咽喉科)の診療範囲は、首から上の眼以外すべて!
あなたは耳鼻科(耳鼻咽喉科)の診療範囲、知っていますか?
実は耳鼻科の診療範囲は「首から上、眼以外のすべて」になります。
具体的な症状を挙げると…
耳:かゆみ、痛み、聴こえにくい、耳鳴りなど
鼻:鼻水、鼻血、匂いを感じないなど
のど:痛み、腫れ、せき、声が出ない、味を感じないなど
首:腫れ、痛み、しこり
その他:風邪、アレルギー(花粉症)、めまい、いびき、睡眠時無呼吸症候群、顔面神経麻痺など
耳、鼻、のど以外も診る必要があるため、とても広い範囲を診療しているのがわかると思います。
「首から上、眼以外のすべてが診療範囲だったら、頭(脳神経)も診なきゃいけないんじゃないの?」
もちろん、そう思いますよね。
耳鼻科を受診する症状の中に「めまい」があります。
めまいを起こす病気はたくさんあるのですが、脳が原因の場合や耳(内耳)が原因の場合もあります。
この場合医師は、何が原因でめまいが起きているのか、脳が原因なのか耳が原因なのかを判断する必要があります。
また、耳鼻咽喉科の病気が原因で顔面神経麻痺が起こることがよくあります。
そのため、「首から上、眼以外のすべて」と表現したのです。
耳鼻科(耳鼻咽喉科)クリニックへ転職した看護師の仕事内容
耳鼻科クリニックのやり方によって看護師の業務分けは異なるとは思いますが、耳鼻科クリニック看護師の仕事内容は大きく分けて3つ。
- 医師の診察の介助
- 点滴などの処置(外回り)
- 聴力検査などの検査
クリニックの看護師の配置人数は少ないため、耳鼻科クリニック看護師はこの3つの業務すべてを覚える必要があります。
医師の診察の介助
医師が診察室で患者を診察する際の介助を担当します。
具体的には、診察室への患者の呼び出し、診察イスに付いている枕の高さや角度を合わせる、医師の診察に合わせて診察イスを回す、咽頭鏡などを温めて医師に手渡す、 内視鏡検査(電子スコープ・ファイバースコープ)の介助、検査伝票の記入など。
入院設備のないクリニックでも日帰り手術を行っている場合は、手術の介助をすることもあります。
点滴などの処置(外回り)
採血、注射、点滴、検温、血圧測定、点鼻薬・点耳薬の使用方法や注意点の説明・実施、吸入(ネブライザー)の説明、物品の洗浄・消毒、滅菌(オートクレーブ)、掃除、洗濯など。
聴力検査などの検査
純粋聴力検査(気導・骨導)、ティンパノメトリー(チンパノメトリー)、鼻腔通気度検査、耳小骨筋反射検査(アブミ骨筋反射)、耳音響放射(OAE)、重心動揺、レントゲン撮影(耳・鼻)の準備・説明など。
耳鼻科(耳鼻咽喉科)クリニックへ転職した看護師の1日の流れ
8:30 出勤、着替え
9:00 午前の勤務開始
13:00 お昼休憩
15:00 午後の勤務開始
19:00 勤務終了
出勤、着替え
着替えが終わってからは、看護師みんなで協力して診察準備をします。
クリニックによっては勤務時間に含まれない前残業となることもありますが、早くても20分前に着替え終わっていれば間に合うでしょう。
午前の勤務開始
看護師業務が医師の介助などの担当で分かれている場合、それぞれの業務を行います。
患者が途切れてしまい空いた時間には、ガーゼ作りや物品発注、掃除などをすることが多いです。
お昼休憩
クリニックは拘束時間が長いところが多いですが、その分お昼休憩が長く設定されているので、ゆっくりと休憩が取れます。
中には一度家に帰り、食事や家事を済ませてから再度出勤する看護師もいるようです。
勤務終了
診療受付時間内に受付した患者の診察が終わってから、みんなで協力して片付けをします。
時期や立地にもよりますが、病棟よりは残業が少ない印象です。
また残業になってしまった場合でも、残業代が支給されます。
耳鼻科(耳鼻咽喉科)クリニックの特徴
耳鼻科(耳鼻咽喉科)クリニックには、他の診療科のクリニックとは異なるいくつかの特徴があります。
耳鼻科(耳鼻咽喉科)クリニックでは採血や点滴が少ない
耳鼻科クリニックでの採血は、ほとんどがアレルギー検査目的なので、内科クリニックに比べると少なめです。
点滴や注射もめまいの治療目的で行うことが多いので、こちらも内科クリニックに比べると少なくなります。
耳鼻科(耳鼻咽喉科)クリニックでは急変がほとんどない
耳鼻科クリニックでは、急変が起きるような状態の患者が受診してくること自体が少ないです。
採血で迷走神経反射が起きて体調が悪くなったり、鼻血(鼻出血)が止まらず気分が悪くなるようなことはあります。
しかし、病棟で起きるような生命に直結するような急変が起きることは、ほとんどないと言えます。
耳鼻科(耳鼻咽喉科)クリニックでは花粉症の時期が忙しい
耳鼻科は花粉によるアレルギー性鼻炎で受診する患者も多いので、花粉症の時期になると忙しくなります。
本格的に花粉が飛散する前の2月頃から来院患者数が多くなるので、残業になる可能性が高いです。
耳鼻科(耳鼻咽喉科)クリニックでは学校健診業務を行うこともある
クリニックでの看護師業務以外に、学校健診業務を受託しているクリニックでは学校健診業務がある場合があります。
4月から診療器具を持ち、医師と看護師(場合によっては事務員)で学校に出向き、健診業務を行います。
耳鼻科(耳鼻咽喉科)クリニックは子供が多い?
中耳炎などで子供が耳鼻科を受診するイメージは多いですよね。
でもなぜ子供なのに小児科を受診しないのでしょうか?
答えは、小児科では耳や鼻を専門的に診ることはできないからです。
小児科には耳や鼻を診るための器具や、聴力検査をする設備がありません。
そのため耳鼻科は小児(赤ちゃんを含む)から大人、高齢者まで患者の年齢層も幅広いです。
医師の診察介助の際に、安全のために子供を抑えつけることもよくある光景です。
耳鼻科では子供の診察をすることも多いので、子供が苦手な方は転職する際に頭の隅に入れておいた方が良いかもしれません。
耳鼻科(耳鼻咽喉科)クリニックは立地によって患者層が異なる
耳鼻科を受診する患者には子供が多いと言いましたが、実は耳鼻科クリニックの立地によってもその患者層は若干異なります。
例えばオフィスビルが多く立ち並ぶ街の中心部での耳鼻科クリニックと、田舎や住宅地に近い耳鼻科クリニックではどう違うのか、イメージできますか?
オフィスビルが多く立ち並ぶ街の中心部での耳鼻科クリニックの場合
オフィスビルが多く立ち並ぶ街の中心部の耳鼻科クリニック、こちらは働き盛りの世代が患者として受診することが多くなります。
そのため田舎の耳鼻科クリニックに比べて子供や高齢者の割合はやや少ない傾向にあります。
田舎や住宅地に近い耳鼻科クリニックの場合
逆に田舎や住宅地に近い耳鼻科クリニックでは高齢者や子供の割合が多いと言えるでしょう。
ただし、あくまで傾向なので中心部だからと言って子供がまったくいないというわけではないので、注意が必要です。
耳鼻科(耳鼻咽喉科)クリニックの特徴と看護師の仕事内容【 意外と子供が多い?】まとめ
耳鼻科では首から上、眼以外のすべてが診療範囲になるので、勉強する疾患は多いです。
しかし、疾患や検査についてあらかじめ勉強しておく必要はなく、処置の方法や検査方法などは働きながら覚えられます。
目安として耳鼻科領域が未経験でも2.3ヶ月あれば、概ね独り立ちできます。
病棟での看護師と違い、耳鼻科クリニックの看護師はルーチンワークが多くなります。
医師の診察の介助についていると自然とわかってくるのですが、患者の症状を問診するだけで医師がオーダーする処置や検査がある程度想像できるようになってくるのです。
そのため、よく受診してくる患者の症状や疾患、薬の作用・副作用、処置の説明、検査手順を覚えてしまえば自宅に帰ってから勉強することはほとんどなくなります。
仕事や疾患を覚えるまでの2.3ヶ月は自宅での勉強は必要ですが、慣れてくると勉強することはグッと少なくなるので、プライベートを大切にしたい人には良い職場と言えるでしょう。
急変も少なく、プライベートの時間も確保しやすい耳鼻科クリニックですが、求人票だけでは実際の患者層(子供が多いのか)や残業時間、繁忙期などは知ることができません。
しかし、転職サイトに登録しておけば担当者から残業の多さや患者層について教えてもらえるので、あなたのイメージする耳鼻科クリニックに転職することができるでしょう。